回転する世界




この世は簡単にゴミにも宝物にも姿を変える。

物事は平面ではなく立体なのだ。
私にとってどうでもいいものが誰かにとっては何よりも大事で、その逆もまたしかり。私たちみんな同じ地面に立って、一つの立体を様々な方向から見ている。
雷蔵先輩が迷っている二つのものは、私にとってどちらも心を惹かれないものだったりするし、食満先輩が大切にしているアヒルさんボートのかわいさというものは私にはイマイチよく分からない。同様に、私が三度の飯より好きな穴掘りはあの二人にとってはさして興味のないことだろう。

それでも、私は雷蔵先輩にどっちがいい?と聞かれたら一緒に悩むし、食満先輩のアヒルさんボートを探すのを手伝う。

こっちから見たらただの石でも、向こうから見たらきらきら輝いていることを私は知っているのだ。
だから私は一歩あのひとに近付いて、一緒に覗き込む。そうすると少し、きらきらして見える。あのひとの大切なものを大事にすることが出来る。

ねえ、私くるくる回っていたら、いつか全てのものがきらきら輝いている世界を見つけられるかしら。
それはどれだけ素敵な世界だろう。



(僕たちは回転している)