可哀相に





よく陽に灼けた肌が、闇との境界線を溶かしている。
不意に文次郎はそれを綺麗だと思った。

「う、ぅ」
食満が呻く。
(助けて欲しいなら叫べば良いのに)
無責任にもそんな考えがよぎる。食満のプライドが高いのを知って。
泣かないから泣かせたい。
喚かないから喚かせたい。

(俺は。お前みたいな女、全然好みじゃねーのになァ)
鍛えられた身体は年相応の女子らしくなく硬いし、色も白くないし、髪も長くないし、普段サラシで潰している胸はあまり成長していない。
色恋より鍛錬の方が楽しいとかぬかす女だ、モテた試しもないだろう。
(実際、俺が初めてだったし)
俺だってこんな可愛げのない女より、もっとイイ女が良い。柔らかくて白くて、高い声で喘ぐ女。
でも伊作や仙蔵は俺だけじゃない、他の奴とも寝てる。そうだろう、お前が俺にこんな事されてる間、お前の同居人は何処で何やってんの?

でもお前は俺しか知らない。

はは、俺しか知らないって。最初が俺でこの先も多分ずっと俺だよ、お前。

「…可哀相なヤツ」

耳元で囁けば、彼女の身体は小さくびくりと跳ねた。